出る杭は抜かれる

中小企業に詳しい一橋大の関満博先生が、以前「出る杭は打たれる、出すぎた杭は打たれない」と言うが「出すぎた杭は抜かれるんだヨ」と言っていた。

地域で活躍する現場の若手は、目立ちすぎると、上の人にとって面倒な相手と見られ(あるいは脅威と思われ)、閑職に追いやられたり、嫌がらせを受け自ら辞めるように追い込まれるという話だ。

昨日の地域政策の演習では、徳島県上勝町を取り上げて議論した。その中心は、葉っぱビジネスで有名な「いろどり」となる。いろどりビジネスを思いつき、ここまでに育てあげた横石さんは、すごいし、ご苦労も並大抵のことではないのは周知の通り。

演習での話のなかで、よくここまでやって「抜かれなかった」という話になった。

そんなこともあって、議会などがどういう反応をしているのかを知りたくって、もう一度「上勝町」「いろどり」「議会」などのキーワードでネット検索したら、横石さんがある代議士と対談した様子をまとめたブログを見つけた。

そこには、ほかにもいろいろなヒントが書かれているのだが、以下のような下りがあった。

「東京のベンチャーの方と私もお付き合いがあるのですが、決定的な違いがあります。東京は人材を選べて、自分がやれば頑張った分だけ認めてくれるし、伸びます。しかし、田舎では足を引っ張られます。だから謙虚というリュックを背負って見せておいて、上手に商売することが必要です。ここが都会と田舎の違いです。」

いろどりに関しては、よく「年収1000万円のおばあさんもいる」と紹介されている。しかし、株式会社いろどりは、事業の年商が2億として、その5%くらいを得ているらしい。となると、1000万円の売上高だ。横石さんは、副社長で役場職員からの出向の形であるし、社長は町長なので、この人件費は要らないが、売上高1000万円では、若者を数人やとったら消えてしまうだろう。会社は非営利組織のように、ただまわっているだけのようだ。上勝町もごたぶんに漏れず財政改革中なので、給与は下がる方向にある。

おばあさんたちは儲かっているが、横石さんはお金を得ずに謙虚に過ごし、会社も再投資するほどには収益を上げていないというのが実態だ。毎日顔を合わせる地域でのビジネスには、良くも悪くも現実としてこうした配慮が不可欠なのだろう。

横石さんが最近出版された以下の本にも、一度辞めようと思って辞表を提出した折に、農協は引き止めなかったという下りがある。彩事業をしている農家が中心となって町長に掛け合い、結局役場職員として町に残ることになる。しかし、現場を離れると、たちまち彩事業の業績が上がらなくなり、また農家が町長に掛け合って第三セクター株式会社いろどりができることになり、横石さんは、そこへの出向となる。

おばあさんたちは、儲けられたので横石さんを必要とした。おばあさんを儲けさせ続けることは、横石さんのいわば安全保障でもある。現在の安全保障は、Uターン、Iターンが増えていることのようだ。横石さんは、こうしたメカニズムを理解したうえでバランスを保っている。嫌らしく聞こえるかもしれないが、これが現実であり、現実を理解しているという面でむしろ誠実さを感じる。きれいごとでは、長続きしないのだ。

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

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